イメージしやすい文字をデザインする
- ビジュアルがデザインの印象に与える影響力は強いものです。ここでは文字の持っている部分的な特長をビジュアル化させ、連想しやすい文字のデザインを考えてみました。
- 料理や食材などで見られるように、質感(テクスチュア)を意識した写真画像があります。人間の視覚から得られる情報の中でも、質感は非常に鋭敏な感受性を持っています。ざらざら、つるつる、ゴツゴツなど、記憶されたイメージの質感を生かす筆文字の演出は一種のたとえです。
- 次は野菜の特長を感じさせる表現を、線質やカタチを変えながら書き分けてみました。
【野菜を漢字で書く】
ポイント①=もののテーストをイメージしながら表情を加える。
ポイント②=線の太細や強弱をつけてレイアウトを考えてみる。

- 【南瓜(かぼちゃ)】
- 上の文字は、南瓜の丸みを太い線を通して輪郭をイメージさせています。また南瓜の種に見立てた点や、つるに絡んだ様子を「瓜」の文字をデザインすることで連想させています。
- 下の文字は、線の太細や強弱などアクセントはつけず、硬くゴロゴロした動きのある質感を線質で表現しました。中段の「里芋」と「茄子」はそのファミリーとして書いています。

- 【里芋(さといも)】
- 上の文字は、里芋の丸みを「里」で、「芋」では張り付いている根のイメージを表現したものです。
- 下の文字は、線のバサバサ感で土臭さを表現しています。どれもコンパクトにまとめることをポイントにしています。下の文字は絵筆の「隈取筆」で書いています。

- 【茄子(なす)】
- 上の文字は、茄子のシャープな曲線的なイメージをカタチで、「くさかんむり」は茄子のへたをなんとなく表現したものです。
- 下の文字は、野菜の素朴な感じを作るために、筆の穂先を整えることなく粗く書いています。

- 【人参(にんじん)】
- 人参の文字は硬さを「人」で、葉のフサフサした姿を「参」でイメージしたものです。筆は太細書き分けるため2種類使用し、あえて文字を重ねているのも特長です。
- 【木の芽(きのめ)】
- 高さの違いを作る構成で、小さな植物をイメージさせています。弱い線を作らないように、柔らかい線の組み合わせで質感を表現しました。